Q17 放射温度計を上手に使うテクニックはありますか?

放射温度計を使う上で一番重要な要素が放射率です。これを適切に設定する事が出来ていれば有効に測定を行えるのですが、主に下記2点の要因がそれを阻害します。

(1)放射率について

全ての物体は赤外線を放射しますが、放射率が全て違います。
例えば同じ100℃でも、放射率0.1の真鍮は100℃の10%分の赤外線しか放出しませんし、放射率0.9のゴムは100℃の90%分の赤外線しか放出しません。
このまま計測しますと、真鍮の場合、本当は100℃なのに10℃と表示され、ゴムの場合は90℃と表示されてしまいます。
放射温度計はこの放射率を設定して初めて使用可能になる製品になります。
「では放射率を調べて適切な数字を合わせれば良いじゃないか。」となるのですが、放射率は物体によって変わりますし、同じ物体でも表面状態が違うと変わります(放射率0.1~0.4程度は簡単に変わります)ので適切な数字を設定する事が困難です。

対策:
弊社製品は条件出しの際のみ接触式温度計で実温を測定し、その温度と同じ温度になるように放射率を設定する事が出来ますので、放射率合わせが容易に行えます。

(2)反射率と外乱の影響について

反射率、透過率が高いものを測定する際に、近くに熱源があったりすると正しい測定が出来なくなることがあります。

理由:
物体の赤外線に対する特性は放射(吸収)、反射、透過の組み合わせによって出来ています。
それらの割合は放射率+反射率+透過率=1.00になります。
金属や樹脂の場合、透過率は基本的に無視できますので、通常は放射率+反射率のみで考えます。
真鍮の場合は放射率が0.1なので反射率0.9となり、ゴムの場合は放射率0.9なので反射率0.1となります。
さてここで問題となるのが放射率の低い真鍮です。

外乱の影響がない場合

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外乱の影響がない場合(現実世界では実現不可ですが・・・)、放射率を適切に合わせればどんな放射率でも問題なく測定出来ます。

外乱の影響がある場合

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測定物の近くに発熱体(200℃)があった場合、反射率0(放射率1.0)ならば発熱体の影響を無視して測定可能ですが、今回の真鍮のように反射率が0.9だと放射率を適正に設定していても、発熱体の赤外線の90%分を反射し、更にそれを放射率0.1として換算しますので、1900℃と表示(実際には計測エラー)されてしまいます。
要するに反射率が高いと、外乱を反射するし、更に反射された赤外線も数倍して表示してしまうので、計測エラーが非常に大きくなります。

対策:
根本的な対策は難しいですが、再現性はありますので必ず同じ環境で確定する等の管理方法は取れると思います。また、施工表面の放射率が高くなる塗料やテープもありますので、それらを用いて見かけ上の放射率を上げて測定することも有効です。